こもれび




一日

朝日がのぼり 夕日が沈む
公園に灯が燈った

電源切ったままぽけっとに
入れた携帯
塞ぎ込むほど苦しいのは
分かっているのに

ただ歩いていることが
空虚を感じさせた
ため息ひとつが
過ぎし日を思い出させた

新しい光見つけたくて
あてもなく人ごみに揉まれてきたのに
わけもなく毎日に必死になったのに
見える光は変わらぬ光

公園で2羽の鳩がぽっぽと
鳴いていた
昼間のパンの残り端
ちぎって小さく投げた

10 Jan. 2003
 
 

  
 
 
  
 
 
 
STAR 
 
太陽でなくていい。   ちっぽけな流れ星は いつもどこかへ宇宙旅行

太陽でなくていい。   ちっぽけな衛星は 毎晩 惑星と踊るワルツ

太陽でなくていい。   どんな星でも そのままで

       今日も誰かが見上げてる そんな優雅な星たちを

25 Sep. 2003

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

秋の夏虫 
 
 
 
夏虫一匹 鳴いている 秋の夕暮れ キィキィ鳴いている

 誰に向かって キィキィ 夏虫 鳴いている
 

夏虫一匹 鳴いている 車道の隅で チロロと鳴いている

届かなかった夏の思い チロロチロロと鳴いている

信号変わって車の音 その中 鳴き声かき消され 

 それでも夏虫 鳴いている チロロチロロと鳴いている


夏虫一匹 鳴いていた 寒い風に 擦れるような声で鳴いていた

 夕日の中で 独りぼっち 鳴いていた
 

26 Sep. 2003
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  
 
暮らし 
 


今夜はもう誰も通らない道の自販機で ジュースはそれでも冷やされて
物音しない都会の影を 無数の電燈が昼間のように照っている

道路に放られた空き缶から 残りのコーラがこぼれてて
群がった蟻たち 今晩最後の車に轢かれて 黒いアスファルトに埋もれてる

錆びた看板 うっすら残る 痴漢注意の文字の上
鮮やかな色したスプレーの線 一本大きく走っていた

部屋では 見えない暴力に悩まされる毎日が 布団を被り震えさせ
隣の家では 夜泣きを止めようと 殴る蹴る が続けられ

その隣家 名前もしらない 老いたものが 昨晩
誰にも気づかれず 息を引き取った

26 sep 2003
 
 


 
 
 
 


「ふたり」を読んで 
 
 
 
自分を騙すこと なんて難しい

自分に正直になること
自分に素直になること なんて難しい

腐ったもの 嫌いな部分 変えたけりゃ
それしかないんだなぁ


元気がないときは 元気を装え!
本当の自分が誰かなんて 考えると 元気がなくなるんだ
元気を装うんだ!
疲れても 虚しくなったとしても…

演じてみせなよ そんな自分じゃない自分を

怪人二十面相 は 温かい人間なんだ。
弱くて 寂しくて でも 強い 人間。
自分を騙して 装いつづけてきた 人間。

仮面はいくつあってもいい。

素顔は自分が見つけるものじゃなくて
誰かが見てくれているもの

そのときの環境
そのときの自分
そのときの相手 に

自分を委ねてみなよ

血を流さなくても 何度でも 死ねるんだ


そして 疲れたときには
そっと 楽な自分でいたらいい 誰にも邪魔をされない避難場所で
好きなものと一緒に

1 Oct. 2003


 
 
 
愚者の命乞い 
 
 
 
頼りない 人間です

自分勝手で わがままな 人間です

いい加減で ぐうたらな 人間です

何もせず 何もせず 何もしない 人間です

そんな毎日を送っている自分

甘んじている自分 このままではいけないです


環境のせいにすることも

次こそは なんて 思うのも

ばかげてること

知りすぎました


でも まだ変わっていない

まだ 抜け出せていない

悪いのは 自分の意志と努力

くそっと 言ったところで 変わらない

明日こそはと 思ったところで 変わらない


けれども こんな人間で ずっといたくないから

絶対に 変わるから


そんな人間だから しかたがない と

言われるときに、ぐさっとくるものは 何なのでしょう

まだどこかにかろうじて 残った いつか失った自分 でしょうか


見捨てないでください

ほんの少しでも ほんの小さな期待でも

できたら 持っていてください


私はこんな人間のままで終わるわけにはいかないんだ

3 OCT 2003 
 
 
  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
クリスマス 
 
 
ちょっと早いけど クリスマスソング

すると 部屋に訪れた クリスマス
鈴の音と ちらつく真っ白な雪と どこかしっとりしたクリスマスの空気

思うあの日のメリークリスマス

ワインがないから コンビニに急いで走ったあの夜に
どれがいいか分からないワインを目の前に 携帯で部屋に電話した

ラジオから聞こえてた クリスマスソング
テーブルの上のクリスマスケーキ
もらったばかりの帽子被って 照れくさかった 

雪は降ってなかったのに 雪に包まれていたあの夜は
とても長くて とても短かった

まだ早いけど 一人だけのクリスマス気分
今年はもう仕事 入れちゃった

20 Oct. 2003


歌と踊りは狂気そのものであり
やめてくれ、という意味の拍手を送りたく
また、目を瞑ると安堵できた

奇怪な言葉を発する口、全裸で不可解な動きを
する身体

うごめき、飛び跳ね、両手を鶏の手羽のほうにして羽ばたこうとする

なぜ普通にできないのか なぜ整った形にできないのか


不快感と苛立ちと畏怖


見終わったあと、連れに言った。

あれは分からない。
はっきり言うと、嫌いだ。やめてほしかった。
まぁ分からないからこそ、おもしろい。

と。


おもしろいわけがない。
その否定は、何に向けられていたわけでもなく、
自己否定であった。

狂気。

自分の姿をまざまざと見せ付けられ、自分はそんなのではない、
そんなのは嫌いだ、くしゃくしゃにしてくずかごに入れたかった。

自分の持っている大きな部分を、その人は、人前で表現していた。
見ていて、耐えられなかった。見終わったら、打ちのめされた。

嫌いだ。あんな歌や踊りは嫌いだ。

怖くなった。恐れを自分に感じた。
嫌いだと思っている自分や、現実の自分は、偽者のように思え
今日発した言葉の記憶している限りを思い出すたびに、嫌悪感を感じた。
偽者だ、と。

死を考えると、体になんなのか、快感なのか、なんなのか、
救われる妄想をもった。

そのあと、横断歩道や信号のない車道を渡るとき、車は止まらなかった。
一歩前に出ようかとしていたところ、それに気づき、やめた。
車はスピードを落とさなかった。

轢かれたあとを考えると、苦痛を感じた。
病室の自分。夜に眠れずに、ひたすら歯をかみしめ、声を出さずに、
叫んでいる自分が見えた。


今日は、自分を裏切った。自分に裏切られても、苦しい。
誰にも助けなんて求めるものではないのかもしれない。
しかし何かで止めないと、おかしくなりそうだ。
これを書くことにした。すると、ましになった。

狂気な自分、裏切ってごめん。
お前はお前として、いていいんだから。
ほんとにすまない。


17 Dec 2003


© Rakuten Group, Inc.